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熱と湿度が立ち込める暗い暗い部屋の中
汗ばむ皮膚はこのところサウナのような有様で
ぱっくり開いた毛穴に跳ねる
拭いきれない滴を拭う
耳を澄ませば息苦しさが
壁を這うほどの思い出たちが
ちかちか光るぎらぎらしてる
あなたのいない最初の夏だ
こめかみの際を伝う次々伝う
大量生産される汗
涙の涸れた自分にも流す体液が残っているとは
視界に灯る光を追って瞬きを繰り返す
ほんとうの暗闇なんてほんとうは知らない
今はいいさそれでも
からからに渇いた心はもう痛まない
忘れた傷で泣けるほど
ピュアなハートがあればいいのに
喉を滑り落ちるひとりごと
答えるあなたのいない夏だ
光る幻覚に手を伸ばす
そんなものよりそんなひとより
枯れたからだに水をくれ
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