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真夜中ぼくはひとりきり
羊を数え指を折る
息もできない壁の中
ぬるい空気が吹き抜ける
朧月夜に好きよと叫ぶ
あなたの声が突き刺さる
遠い昔を今もなお
待ち焦がれては焼け落ちる
ぼくの狂気とあなたの正気
振り子は揺れる音もなく
黒く淀んだ無意識へ
羊は燃えて灰になる
月は消える欠ける背く
幻ばかりが鮮やかに
胸に手を当て泣いている
あなたの涙の味がした
薄目を開けて時間よ止まれ
甘い香りは無情にも
未だにぼくはひとりきり
羊の死骸を飾る夜
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