【月に導かれて】

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*** 目が、開いた。 白い天井が眩しかった。 「あ、気が付きました?」 声に視線を向けると、白衣の天使がいた、それは背中に羽が生えていない天使だった。 「──え……?」 白衣の天使は、にこりと微笑む。 「私……生きてる……?」 思わず呟いていた、声は出しにくいけれど、ちゃんと出せた。 「覚えてますか? 土の中から発見されたんですよ? 打撲や骨折が酷いので体は動かせないかも知れませんね。仮死状態だったようで、それが幸いして土に埋められても窒息は免れたようです。発見が早かったもの幸いでした」 「……発見……してくれたのは……」 「さあ、私ではそこまでは」 なんだ、残念。でもきっと羽生さんだ。私の話を疑わずに連絡してくれたに違いない。 私が伝えた内容だけで、私が埋められているであろう場所を探してくれたのだろうか。 そして警察なり消防なりに連絡を……もしかしたら信じてくれなかったかもしれない、あるいは自分が疑われたりするかも知れないのに、連絡してくれて、私は助かったんだ──。 ああ、今すぐ逢いたいです。 今度、逢えたら。 きちんと気持ちを伝えよう。また死ぬ時に後悔しないように──。 終
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