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それだけではない、新垣の悩み事や相談を色々聞いてくれてアドバイスをしてくれた。新垣はいつしか兄のように慕うようになっていた。初恋だったかも知れない。
楽しい毎日を送っていたある日、夕方になり男の子がもう帰ろうと言い出すが新垣はもっと遊びたいと駄々をこねた。男の子は親が心配するからダメだと言うので新垣は仕方なく帰った振りをした。
「トウくんの家って何処にあるのかなぁ」
男の子は『トウ』と名乗った。名字は知らない、新垣はもっと遊びたかったので男の子の後をそっとつけた。
「山のお墓だ…… 」
男の子は山の麓にある墓地へと入っていく、新垣も後をつけるが途中で男の子を見失って墓地の真ん中で泣き出した。
『ついて来ちゃったの? 』
怖くなって泣き出す新垣の後ろから男の子が現われる。
「だってトウくんともっと遊びたかったから…… 」
泣きじゃくる新垣の背に手を回すと男の子が墓地の向こうに見える建物を指差した。
『あそこが僕の家だよ、でも危ないから一人じゃ来ちゃダメだよ』
急に日が暮れて辺りが薄暗くなる。男の子は危ないからと言って家の近くまで送ってくれた。
暫くして母が再婚して町の中心部へと新垣は引っ越しした。男の子とはそれっきりである。
2年経って新垣は小学生になった。
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