第三話 近所の子

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 夏休みや正月休みに実家へと遊びに行ったときに男の子を探すが見つからない、山の墓地にも行くが低学年では怖くて一人で奥へ入る事など出来なかった。  小学校5年生になり学校で少し嫌な事があった新垣はふと男の子の事を思い出した。 「トウくんに会いたい」  優しかった男の子なら真面目に話しを聞いてくれる。相談できると思った新垣は町外れの母の実家へと一人で向かった。  電車に20分ほど乗れば近くの駅に着く、そこから30分も歩けば実家だ。 「お祖父(じい)ちゃんには帰りに挨拶しよう」  新垣は実家に顔を出さずに山の墓地へと向かった。時刻は午後の4時過ぎだ。もう直ぐ日が暮れるので怖かったが男の子に会いたい一心で墓地へと入った。 「確かあの向こう……あった。あの家だ」  墓地を抜けて幼い頃に男の子が指差していた建物へと着いた。 「えっ!? 」  家ではなかった。コンクリートで出来た四角い建物に大きな煙突が付いている。火葬場だ。 「何で? トウくんの家は? 」  辺りには他に建物は無い、驚く新垣の目に火葬場の出入り口の横に転がっている靴が見えた。青い靴が片方だけ転がっていた。 「トウくんの靴だ」  一目でわかった。汚れた服を着ていたが青い靴だけはピカピカで男の子も大事にしている様子だった。 「じゃあ、トウくんは…… 」     
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