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第五話 池の畔の社
それなりに大きな地方都市に住んでいる大学生の土谷さんから聞いた話しだ。
今でこそ開発が進んで住宅街になってしまったが土谷さんが子供の頃は彼方此方に田畑があってそれに水を供給するために溜池が幾つかあった。
今は埋め立てられて公園になっているが土谷さんの家の近くにも溜池があった。その溜池の畔に小さな社があった。龍神様を祀っているらしい、池が埋め立てられた後も公園の片隅にぽつんと置かれたままである。
池は子供たちの絶好の遊び場だった。虫取りや魚掬い、釣りはもちろん、池から田畑に続く水路は水遊びに最適だ。スマホはもちろんゲーム機も無かった時代である。子供たちは一年中、池や野原で遊んでいた。
土谷も幼い頃から上級生に混じって池で遊んでいた。虫取りに魚掬い、ザリガニ釣りなどに夢中になって遊んでいると池の畔にある小さな社にお爺さんが入っていくのを度々見掛けた。
お爺さんは穏やかな顔でニコニコと笑っていた。幼かった土谷はお爺さんが住んでいるのだと思っていた。
土谷が小学校2年生の頃だ。社に入っていくお爺さんを見て近くに居た友人に話すとそんな事があるかと笑われた。
「嘘じゃないからな! 」
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