【偶然の出会い】

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なぜ大人はみな聞くのだろう。今後、将来どうしたいのか。 そんなこと考えられたら私の病気治ってるんじゃないかな。 うつ病で落ち込んで自我障害では無気力になったり判断力が低下する。 何が正義で何が悪か。こんな単純な問いにさえきちんと答えられないときがある。 「このまま、一生病気なのかな」 その時ドン、と誰かにぶつかった。下を向いて歩いていたからうっかりしていた。 「ごめんなさい。大丈夫ですか?」 そう声をかけてもぶつかった子、同じ10代後半くらいの彼女は様子がおかしい。私の顔を見ないで周りを変に見渡している。 「誰か、探してる?」 「え・・?ああ、あったあった」 「白い、杖」 彼女が探していたのは白い杖。テレビで何度か見たことがある視覚障がい者の杖だと分かる。 その杖を見つけて立ち上がると杖で周りをコツコツとまるで点検するかのようにした。 そして私の足に微かに当たると彼女は体の向きを変えて私にお辞儀をした。 「ごめん。まだ目が見えないことに不慣れなの。だからせっかくの杖も使いこなせなくて」 「ぶつかったのは多分私のせいだよ、下ばっかり見てたから」 「それじゃあお互い様だ。間宮ヒカリ、19歳だよあなたは?」 「えーっと・・・保志レイ、18歳」
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