チョコレートはいらない

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「ミルクくん?」 「そう」 「毎日会うの?」 「ううん、でもほぼ毎日」 「なんでミルクくん?」 「同じところのミルクチョコ買ってるから」 「『くん』ってことは年下?」 「新卒っぽい」 「じゃあ最近からなの?」 「多分。先月くらいに気づいた」  そう言いながら私はくるくるフォークを回しパスタを絡め取る。 「向こうは気付いてはいる?」 「うーん、多分?」 「多分?」 「一回目が合ったことがあって、そのときなんとなく」  そして、私はそれをパクっと食べる。正面の五十嵐の表情はなんとも表現し難い微妙なもので、こんなもんかなぁ、と思いながら咀嚼する。そして五十嵐もなるほどねー、と独り言を言うとパスタに手を付け始め、それから二人無言でもりもり食べた。
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