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「ううん、大丈夫。ここにあるはずだから」
七星くんが足を止めたのは産業と書かれた場所。
将来、水産業にでもなりたいのかなぁと思っていたのだが、どうやら植物系の本はこの部類らしい。ここの図書館の括り方にいまいちピンとこない。
「夏輝ちゃん」
「なんでしょう」
「僕ら同い年だし、タメ語でいいんじゃないかな」
唐突すぎて返答できず、ただ七星くんを見た。手に握られているのは『上司へのマナー・敬語』。
それで思い出したのだと納得する。
「なんでここにあるんですか」
七星くんが片方の頬を膨らませた。
「あ、えと...なんでかな」
僕が直すしかないなぁ、といつもより弾んだ声でその本を持っていった。
「誕生花知りたいんだよね」
帰り道、ぽつぽつと話す。
「あれ?でも夏の花は?」
「それはもう調べ終わったよ」
流石だなぁと感心していると「デルフィニウム」と聞きなれない単語が聞こえた。
「うん?」
「この前僕が気に入ってると言った花の名前だよ」
あの、青に近い紫のような綺麗な花か。画面に映っていた花の外観が頭に思い浮かぶ。
「最初知ったとき元素名かと思ったんだよ」
「元素名?」
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