第三章

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「そうそう。アルミニウム、アンモニウム、ディルフィニウム!」 「...似てるね」 それしか言えない。 そもそも私がそんなことに気付ける人なら、成績に苦労してない。 「...ごめん。つまらなかったかな」 「いや、あの私がそういう勉強系に疎いだけで...」 「少しネタをいれたつもりだった」 恥ずかしそうに俯くので、違う!違うの!と顔の前で両手を振った。 「ほら、その花の性質聞かせて?」 顔をぱっと上げて再び話し出した。 「時間が経つと透けてくるらしい」 惑星が見えてしまいそうなくらい、澄んだ水色の空を見上げている。 今日は久々の快晴だ。 「不思議な花ね」 「だね。なんで透けるのかなぁ」 ごにょごにょと何かを言い続ける七星くんに、たまらず吹き出した。 「ええ?なになに」 「ううん、何も無いよ」 「でも笑ってるもん」 困惑している人を見ると余計面白いことをこの人はわかってないようだ。 「あ、誕生花」 笑いが止まらないので、話題を逸らした。 「七星くんの誕生花なんだろうね」 「うーん...まあそれを今日借りたんだけどね」 帰りもショルダーバッグにはパンパンに本が詰められている。全て花関連だという。     
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