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部屋が暗い。いつもなら日光はカーテンをお構い無しに通すのだが。しゃっと勢いよくカーテンを開けた。雨が数百本あるりんごの木に降り注いでいる。あ、そうか。今日から梅雨だって言ってたっけな。
「あれ?」
いつも5時起きのお母さんなら、もうとっくに仕事を始めているはずなのに、その姿が見られなかった。忘れるはずないんだけど。
寝室に行くと、額に熱冷まシートを貼ったお母さんがいた。
「お母さん、大丈夫?」
「熱は大丈夫なんだけどね...りんごの様子が...」
「うーん...」
暫く悩む。あ、これ私がしたらりんごの様子も見れるし、私の夢が叶えられるし一石二鳥だよね!
「私がしようか?」
躊躇われるかと思ったら、案外すんなりと受け入れてくれた。
「やり方わかる?」
「うん!だいじょーぶー!」
そのまま部屋を抜け出し、作業しやすい服に着替えて家を飛び出した。
穏やかな雨粒が透明のレインコートを弾いた。今から私は農家の人なんだ!
軽い足取りで1本の木へ向かう。
「.....?」
未熟な果実が5つ。真ん中の実以外は全て取り除くのだが..。その区別がつかないなんて思わなかった。こんなことになるならお母さんの説明聞けばよかったな、とどうにもならない後悔をする。
仕方ない。自分で見分けよう。
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