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梅雨が明けると嫌いな夏が来る。
蝉の合唱が毎日聞こえるし、直射日光で皮膚が痛いくらい日差しが強いし、大量の汗をかくし、嫌なこと満載だ。
それに加えて今年はもう一つ、夏が来てほしくない理由がある。
すぐ横にある窓を眺めた。
今日はまだ空から雫が滴り落ちているが、今週末からは晴れると気象予報士が言っていた。
きっとそれからは、雨が降っていた日々が虚偽だったかのように、夏に飲み込まれてしまうのだろう。
「谷口さん!」
担任の呼ぶ声が近くで聞こえ、現実に引き戻された。
「外にかっこいい人でもいた?」
女性特有の回りくどい言い方に不快感を覚える。
「...いえ」
クラスメイトの数人の目線と微かな笑い声。
「学習じゃないからとはいえ、授業なんだから前を向くこと」
「...はい」
「それに文化祭はみんなで一つなんだから、人事だと思わない」
「......」
「ほら、黒板を見て」
黒板に書かれた意味のわからない複数の文を流し読みした。
買い出しだの荷物運びだの店番だの、当日の準備係と思しきことが書いてある。
「どれがいいか挙手してもらってたの。あなただけよ、まだなのは」
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