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担任から感じ取られる威圧感に押されて、仕方なくLHRに向き合うことにした。
気分が上がらないまま家に帰る。
「七星くん...?」
玄関より少し離れたところに傘を差している七星くんが立っていた。
「あ、夏輝ちゃん。勝手に来てごめん」
「ううん。大丈夫」
声が上ずった。表情をできるだけ見られたくないので、傘で顔を覆った。
「ごめんね、すぐ着替えてくる」
「あ、今少しだけ座りたい...」
「あぁ、そうだよね。ずっと立ってたらしんどいよね」
そのまま七星くんを連れて、先日の簡単な休憩所に移動した。
「ごめん、なんか僕から来たくせに座りたいとか...」
「ううん!全然」
話したいことが山積みなはずなのに、何から話していいかわからずおもむろに土を足で除けた。
「梅雨明けるっていうのに結構降ってるね」
灰色の空を見上げていた。その繊細な硝子のような横顔に惹き込まれそうになりながら、「そうだね」と急いで返した。
「早く止むといいね」
その言葉に胸がチクリと痛んだ。
本当は笑って喜ぶところなんだろうけど。
「夏輝ちゃん?」
何も返せなかった。
聞こえないふりをしようと思って、俯いた。
「なーつきちゃん」
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