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「なーつきちゃん」
「...あ、ごめん。上の空だったよ」
そう言って何もなかったように微笑む。
「そっか。どこかしんどいのかと思ったよ」
そんな優しい言葉に嘘ついたのが申し訳くなる。その償いというわけでもないが、そろそろきくとしよう。
「七星くん」
「んー?」
「..…梅雨が明けたらどうするの?」
私も女の人特有の回りくどい質問の仕方をしてしまった。
「えー、うーん」
手を顎に当ててまで、本気で悩まなくてもいいのに。七星くんらしいなぁ、と微笑ましい。
「とりあえず傘を一本に減らす」
「へ?」
...この人の回答が度々理解できないことが多い。素っ頓狂で間抜けな声を出してしまったじゃないか。
「僕、今の時期2、3本用意してるから梅雨が終わったら1本にするんだよね」
うーむ。そういうのが聞きたいんじゃないんだけどなぁ。
「あれ?また上の空?」
「いや、今のは聞いてた...」
「じゃあ何で無視したんだよー」
「七星くん、天然だなぁって 」
質問の主旨がずれている私にも責任があると思うけれど、七星くんの頭の回路がどうなっているのか知りたいほどだ。
「夏輝ちゃんは、雨が梅雨が明けたらどうする?」
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