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「まあ、僕が来た所からここまで近いからね。のんびりきたらこうなるよ」
「それって私が汗っかきみたいじゃん」
そんなことないよって否定した顔に本心出てますよ。
「さあ僕もするかー」
「七星くん」
「ん?」
やっぱり訊く勇気が湧き上がってこない。もやもやする割には、理由を明確にするのもなんか少し怖いから。
なんて自分勝手な理由で、黙り込む。
「なになに」
「うーん...」
またこの空気だ。
あー、もう。いっそ素早く言って退散してしまおうか。
「あのね!」
「なにー、そんないき込んで」
「なんで七星くんはここにいられないの?」
「すっごい今更だね」
「仕方ないじゃん」
時の流れとか私からしたらどうでもいい。言えたことに意味があるから。
きっと今流れてきている汗の中には、冷や汗も混合しているだろう。
「質問形式はなし」
「それしようと思ったのに」
どれだけ考えたって私のことを嫌ってるようには見えないけど、真相は分からない。それに私の観察力なんか信用できないから。
「ここにいられないんだよ」
「だからなんで!」
「うーん。なんでだろうね」
「秘密事嫌いじゃなかったの」
「隠し事なら嫌いじゃないよ 」
そんなの卑怯だ。
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