第一章

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「ん?どうした?」 「え?いや、何もないです」 「えー、なにもないかぁ」 本気でうな垂れているのを見ると、笑ってしまった。驚いているのを見ると余計腹を抱えてしまう。 「なんかっ、個性的な考えを持った方ですね、んふふ」 笑いながら話すと息が苦しい。 「言葉選んで言ったでしょー。僕そういうの分かりますよーだ」 変人だと思うけど、急に殴りかかってくるような怖い人ではなさそうだ。 「まあ分からないことがあれば聞きますね」 「あーうん。なら開花する時期とか調べないとなぁ...」 「あ、あれ?知らないんですか?」 「まあね...いや調べるの面倒で...」 なんだ、常人らしいとこも有るじゃないか。 「じゃあ帰ろうかな」 作業はだいぶ進んだ。私一人ならここまでできないって程に。 「あ、あの!今日はありがとうございます」 「全然。楽しかったよ」 雷はいつの間にか鳴り止んでいた。微かに降る雨の中、男の子の背中が消えていく。
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