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「ん?どうした?」
「え?いや、何もないです」
「えー、なにもないかぁ」
本気でうな垂れているのを見ると、笑ってしまった。驚いているのを見ると余計腹を抱えてしまう。
「なんかっ、個性的な考えを持った方ですね、んふふ」
笑いながら話すと息が苦しい。
「言葉選んで言ったでしょー。僕そういうの分かりますよーだ」
変人だと思うけど、急に殴りかかってくるような怖い人ではなさそうだ。
「まあ分からないことがあれば聞きますね」
「あーうん。なら開花する時期とか調べないとなぁ...」
「あ、あれ?知らないんですか?」
「まあね...いや調べるの面倒で...」
なんだ、常人らしいとこも有るじゃないか。
「じゃあ帰ろうかな」
作業はだいぶ進んだ。私一人ならここまでできないって程に。
「あ、あの!今日はありがとうございます」
「全然。楽しかったよ」
雷はいつの間にか鳴り止んでいた。微かに降る雨の中、男の子の背中が消えていく。
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