第二章

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遠くの方で作業をする七星くんに聞こえるように声を張り上げた。 「うんー、動きやすくしたー」 「なんか運動部って感じでいいと思いますー!」 「何それー」 おかしいことを言ったつもりはないけど、なぜか笑われた。 「僕運動部じゃないけどー」 「それで笑ってたんですか?」 「そうでもない」 近くでコロコロとした笑い声がする。あれ、いつの間にかひょいっと忍者みたいに隣にいる七星くん。 「じゃあなんなんですか」 「なんだと思う?」 質問返しされた。まあ答えてやろうじゃないか。 見た目からして運動部ではないだろう。焼けてないし、あと軟弱そうだから。というか数分前そんなこと言ってたっけな。 文化部でも軽音部は却下。ボーカルにしてもギターにして労働力がいる。この人の外見にトランペットのような静かな楽器ならしっくりくる。だけどそれは違うかったらしく、ぶっぶーってバツなんかも作られた。 「うー...」 「チクタクチクタク」 「リタイア!」 「正解は...園芸だよ」 そうきたか。この方が草に向き合ってるのを想像してみた。 「あー、なんか似合いますね」 「似合う似合わないとかじゃなくて...」
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