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ピピピッ・・・ピピピッ・・・ピピピッ・・・
春の暖かな陽射しと共に、目覚まし時計のアラームが鳴り響く。
「ん・・・もうちょっと・・・」春休みも昨日で終わり、今日から新学期が始まる。
「とーもーみー!早く起きなさいよー!」とキッチンから私を起こすママの声が聞こえた。
「あと少し・・・」せっかく懐かしい夢を見たんだもの。もう少し続きを・・・
見たいとこだったけど・・・
コンコンッ・・・
(ギクッ)
「朋美ちゃん?起きた?」ドア越しに聞こえるママの声に、慌てて飛び起きドアを開けた。
「お、起きたから!ママ、もうお仕事行くんでしょ」と言い返す。
「そうよ。ほら、さっさと起きて、ご飯食べちゃいなさい。お弁当、おいてあるから!行ってきまーす」
「うん。わかったから・・・ふぁっ」眠い目を擦りながら、冷たい水で顔を洗い、用意してくれた朝ごはんを食べ、再び部屋に戻って大きく伸びをした。
「おはよう。ケイくん」真っ白なチェストの上に置かれた写真立てには、おばぁちゃまが撮ってくれた私とケイくんがくっついて笑う姿。
コトンッ・・・
「ちょっとだけ・・・ふふっ」写真立てを反対にして、着替えを始めると鏡には真新しい制服に身を包んだ私が現れる。
「あ、パパもおはよう!」隣に置いてあるパパの写真。ママが言うには、私が1歳になる数日前に事故で亡くなったと聞かされた。
そして、2つの舎の間には、少し色あせた紙飛行機が、置かれている。
初めて紙飛行機を作ってくれたケイくん。どこのおうちの子供なのかは、覚えてないけど折って貰った紙飛行機は、私の宝物・・・
「はっ!学校行かなきゃっ!」
渡瀬朋美、今日から高校2年生!新しい学校で頑張りますっ!
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