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畑を手放した農家が次男夫婦のために新築したらしいが住み始めて直ぐに次男が階段で転んで頭を打って半身に障害が残り直ぐ近くにある実家に戻ることになった。それから家は売りに出されて2回ほど住人は代わったが長く居着かず空き家になって15年近く放ったらかしになっていた家である。
元の持ち主である農家は畑をやっていたお爺さんが亡くなったのを契機に会社勤めをしていた長男は家と畑を売りに出して町へと引っ越しした。家と畑の半分は去年直ぐに売れた。残りの畑の半分と15年放ったらかしだった家を新田が買ったというわけだ。
時々手入れをしていたらしくそれほど傷んではいないが辛気くさいというか何となく嫌な感じのする家だと思ったが相場よりもかなり安く買えたので新田は満足していた。
「夏にはスイカを出荷できそうだな」
引っ越ししてから2ヶ月が経った。畑の方は順調だ。本当は高収益の野菜を作りたいのだが畑のことをまだ何も知らないので知人の父に教えられるままに季節の野菜を作っている。3年ほどは勉強だ。その後で収益の良い野菜を作ってこの辺りの農家の人たちにも広げてみんなで幸せになるのが新田の夢でもある。
「新田くん、飯にしよう」
「はい、いつも済みません」
「構わんよ、一人増えても一緒だからな」
夕方、知人の父に誘われて畑仕事を切り上げる。
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