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第二話 階段
田舎暮らしに憧れて大手企業を32歳で脱サラして農業を始めた新田さんの話だ。
東京で大手企業に勤めていた新田さんは2年前に会社を辞めて多摩地区に家と畑を買った。
脱サラして念願の農業を始めたのだ。仕事で知り合った知人の実家が多摩で農業をしていて新田さんの事を聞いて近くで空いている畑があると勧めてくれたのだ。
現地を見た新田さんは自然に囲まれた正に田舎と言った風景が気に入ってその場で購入を決めた。知人の父が畑仕事を指導してくれるという事も大いに影響したのは言うまでもない、過疎が進んでいた地元も30代という新田が移住してくれるのは大賛成だ。
畑は1年前に使わなくなって休耕地となっているだけなので耕耘機で雑草を掘り返せば直ぐにでも使える状態だ。知人の父や他の農家の人に指導して貰えば今年からでも野菜を出荷することが出来るだろう。
ただ一つ問題があった。家だ。昔ながらの農家の家を想像していたのだが売りに出されていたのは都会で売っている建売住宅のような普通の家だった。
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