17人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「あははははははははははははははははははははっっっっっっ!!!!!」
腹を抱えて、彼女は大笑いする。よろけて、呼吸すら乱して、ただ可笑しいとばかりに嗤う。
泥棒は絶句し、彼女の父はただ目をつぶって、じっとしている。
「あー、可笑しいの。何、演技だとわかって、残念だった?」
下衆な笑みを浮かべ、下衆な声音を吐いて、彼女は言う。
「せっかく、心開いて、仲良くなったと思ってたら、裏切られて、絶望した顔する。泥棒って人間らしく主張するんだねっ」
本当に可笑しいと、また笑いそうになりながら、彼女は続ける。
「悪い人だって心に寄り添えば、人間の弱者らしく優しさを見せるんだ。でもって、人を信じようと思ったところで、手のひら返しされたら、どうなるんだろうって思ってやってみたら……」
思わず言葉に詰まって、彼女は笑いをこらえるように下を向き、そしてまた泥棒を見て、吐く。
「ほんっと、サイコーっ! カタルシスぶっしゃーだわ! あはははははははははっっっ!!!!」
最初のコメントを投稿しよう!