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けたたましい笑い声がずっと響く。
泥棒はずっと俯き、拳を震わせている。
「真夜中にピアノを弾いていたのは、もしかしたらやってくるかもと思ってのことなんだよね。私は刑事でも警察でも探偵でもないから、こういうちょっと乙女チックな? 誘い方でもやらないと遭遇しないかなと思って、冗談半分だったんだけど……でも、まさか本当に来るとはねぇ。驚いた。いや、本当に」
全ては、彼女の手のひらの中。甘い蜜の香りで、害虫を捕食するように。
「ずっと、笑いこらえてたんだよね。何その気障ったらしいセリフ。勘違いにもほどがあるんじゃないの。もう、大変だった」
「……せぇ」
「え、何?」
「うるせぇ……」
「え、逆切れ。もう、やめてよ。終わり終わり、早くお縄にかかってぇ」
「うるせぇ!!」
泥棒は拳銃に手をかけた。
それはあまりにも素早くて。
銃声が鳴り響いた。
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