第二話 アイスクリーム

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 美渚ちゃんもよく落とす。食べ終わりそうなときは笑って済ますのだが、まだ半分近く残っているアイスを落としたときは家に帰って寝るまで悔しさが残っていたものだ。  1週間前の事だ。まだ袋を開けたばかりのアイスが棒から外れてボタッと落ちた。 「まだ2口しか食べてないのに…… 」  心こそ悔しくなった美渚ちゃんはその日以来、気を付けるようになった。  3日ほどして遊んでいた友達とコンビニで買ったアイスを公園で食べていた。いつも食べている木陰だ。美渚ちゃんは木の下から少し離れた所でモナカアイスを食べていた。 「あっ! 」  向かいの木の下で食べていた友達の棒付きアイスがボタッと落ちた。 「あはははっ、今日は彩愛(あやめ)ちゃんが落としたぁ~ 」 「勿体無いぃ~、まだ半分残ってたのにぃ~~ 」  他の友人たちが笑う中で美渚ちゃんはハッと気が付いた。 「同じ場所だ…… 」  いつもアイスを落とすのは木の下で食べている時だけだ。  それから幾日かして友人たちと遊んでいた公園で集まってアイスを食べた。 「美渚ちゃん大丈夫? 」  一番仲の良い友人が心配そうに美渚ちゃんを覗き込む、 「うぅん、大丈夫……ちょっと暑かったから、アイス食べたら元気になるよ」  美渚ちゃんは暑さにやられたのか頭がぼーっとしていた。熱中症の初期段階だ。     
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