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それから3日ほどして友達と遊んでいつもの木陰で休憩してアイスを食べていた。
美渚ちゃんの向かい、友人の後ろに何かがぶら下がっている。美渚ちゃんが目を凝らした。舌だ。長い舌が木の上から垂れていた。今日は頭もハッキリとしている。
「ベロが…… 」
長い舌が友人の持つアイスに巻き付いた。美渚ちゃんは何が居るのだろうと木の上を見る。長い舌は枝に生えた葉っぱの中から伸びていた。葉っぱが生い茂っていて何が居るのか分からない。
「あぁっ! 」
友人のあっという声で視線を落とすとアイスがボタッと落ちていた。その友人の後ろで長い舌がするすると上がっていく、
「何か居るよ」
美渚ちゃんは足下に落ちていた小石を舌の消えた葉っぱに投げるが何の反応も無い。
「あはははっ、また落としたぁ~~ 」
「今月3回目だね、アイス運悪すぎぃ」
アイスを落とした友人を他の友達が笑っている。
「全部彼奴がやってるんだ…… 」
舌のことを話しても誰も信じてくれないだろう、美渚ちゃんは何も言わずにその木から離れた。
それ以降、美渚ちゃんはその木には近付かない、アイスを食べるときもその木の下では絶対に食べない、一番仲の良い友人にはそれとなく木の枝の下から離れるように腕を引っ張って自分の近くで食べさせるようにしている。
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