第三話 山の蕎麦屋

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 仕方なく一旦引き返す。国道を走ってガソリンスタンドへ行くと給油した後で自販機で缶コーヒーを買って休みながら電話を掛けてみた。 「もしも……えっ!? 」  繋がったと思った瞬間、お掛けになった電話番号は現在使われておりませんと素っ気ない音声案内が流れてきた。 「ちょっ? えぇ? 」  番号を間違えたのかと携帯電話を正面に持ってきて確認するが箸袋に書かれていた電話番号に間違いはない。 「何で? 」  山の中だ。混線でもしたのかと一旦電話を切って再度掛けてみるがやはり音声案内が流れてくるだけだ。 「何で? 1週間の間に店を閉めたのかな? もしそうだったら最悪だ。店に行ってみよう、他へ移ったのなら連絡先が書いてあるかも知れないしな」  飲みかけの缶コーヒーを持って芦立は車に乗り込んだ。  時刻は午後3時を回っている。雲が出てきたのか辺りは薄暗い、オヤジに描いてもらった地図を頼りに外灯など無い暗い山道を走っていく、 「もう直ぐのはずだけど……あの木は見覚えがあるなぁ」  種類は知らないが大きな木に見覚えがあった。 「あの木の向こう、道が分かれてて…… 」  山道が2つに分かれていた。余り使われていないのか片方は草が茂っている。 「あれ? 草なんて前は生えてなかったよな……でもあの道だし」     
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