第二話 自動販売機

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第二話 自動販売機

 ドライブが趣味の飯田さんから聞いた話しだ。  飯田さんは大勢で騒ぐのは苦手で休日はもっぱら一人でドライブに出掛けていた。  今から5年前、大型連休前の土曜日、飯田さんはある山へとドライブに出掛けた。観光地になっていて連休で人が集まる前に山を楽しもうと思ったのだ。  好きな音楽を掛けながら一人で車を走らせる。ゆっくりと景色を楽しみながら山道を走ると最高だ。疲れなど吹っ飛んで行く、一人になってじっくりと考えることが出来る時間でもあった。  ゆっくりとドライブを楽しんで昼過ぎに目的地に着いた。  山頂付近の駐車場に車を止めるとコンビニで買った弁当とお茶を持って広場の端にあるベンチへと腰を掛ける。ここで弁当を食べるのが目的の一つでもある。景色が見下ろせる絶好のポイントだ。四季を楽しむために飯田は何度も来ている場所である。  弁当を食べ終わるとそのままゴロッとベンチに横になる。町中のベンチと違い寝られないように区切りなどは付いてはいない、横に長いだけのベンチだ。     
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