第三話 滑り台

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 ママ友が向かいの出入り口の近くを指差した。 「鉄で出来た古い滑り台と砂場があったのよ、尚くんが死んで撤去されてここに新しい滑り台が出来たの、引っ掛かったりしないようにコンクリートで作ってくれたのよ」 「じゃあ……涼也を叩いたのは………… 」  言葉を失う下井戸に青い顔で頭を下げるとママ友は自分の子供の手を引っ張って帰っていった。 「あの声は…… 」  苦しげな子供の声を思い出して下井戸も子供たちを連れて逃げるように帰っていった。  その日以来、あの公園へ行くのを止めた。  少し離れた所にある別の公園へと通っている。一番仲の良いママ友や他にも数名のママ友も一緒だ。みんな何となくだが気配のようなものは感じていたらしい。  尚くんはまだあの公園に居るのだろうか? 居るとしたら何をしているのだろうか? 只遊んでいるだけならいいが他に何か目的があるのだとしたら……何もしていない長男を殴ったのは何故なのか、何か企みがあるような気がして下井戸は事故など起らないようにと心から祈った。
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