第三話 滑り台

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「涼也(りょうや)は嶺斗(れいと)を見ててくれる」  長男の涼也に次男の嶺斗を任せると下井戸は長男を叩いた子供が何処かに隠れているかも知れないと様子を見に行った。  出入り口の両側に木が何本か並んで立っている。そこに隠れているかも知れないと思ったのだ。 「誰も居ないじゃない…… 」  辺りを探して誰も居ないのを確認して戻ろうとした時、何かが聞こえてきた。 『けあぁあぁ~~ 』  ザザーッという音と共に苦しそうな子供の声が聞こえる。 「誰? 何処にいるの? 」  慌てて振り返るが声が聞こえた辺りには誰も居ない、木も植えられていないので隠れる所などはどこにも無い。 「おかしいわねぇ…… 」  首を傾げながら下井戸は戻っていった。  泣きべそをかいている長男を横に抱くようにすると駄弁っていたママ友の輪に入る。 「尚くんって誰か知っています? 」  下井戸が長男が叩かれたと話すと集まっていたママ友たちの顔色がサッと変わった。 「知らなかったらいいんです、この子が変な事言うから…… 」  その場の空気を読み取って下井戸が笑みを作って誤魔化すとママ友たちもぎこちない笑みを作って返す。直ぐに違う話に変わるが少ししてママ友たちは次々と帰っていった。 「帰ろっか、おやつにしよう」     
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