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枕元にいた人影が里見の顔を覗き込んだ。
血の気どころか生きているとは思えない灰色の肌、骨に皮を張り付けただけのような顔、目は無く黒い穴が二つぽっかりと空いていた。
『さぁ行こう』
穴だけしかない目で里見を見つめて骸骨のような顔が黄色い歯を剥いてニタリと笑った。
同時に四方から手足がグッと掴まれた。
『行こう行こう、連れて行こう』
周りに居る人影が手足を引っ張る。
「いっ、しぃぃ…… 」
言葉にならない空気が漏れるような悲鳴を上げると里見は気を失った。
翌日、里見は熱を出した。
「おっ、お化けが…… 」
起こしに来た母親に里見が昨晩の出来事を話すが遠足で疲れて熱を出して夢でも見たのだろうと相手にされなかった。
その日は学校を休むことになる。
熱は大した事はない、二度ほど高いだけなので医者には行かずに薬を飲んで寝ているように言いつけて母親は部屋を出て行った。
「夢だったのか…… 」
夢と言われればそんな気もしてきた。連れて行こうと言っていたが自分は無事だ。あれは夢だったのだと里見も思った。
「暇だなぁ」
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