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熱冷ましの薬が効いたのか昼食を食べ終わった頃にはすっかり熱も収まって里見は暇を持て余してベッドの上で漫画を読んでいたがいつの間にか眠りに落ちていた。
『まぁ~かぁ~~はんにゃぁ~~ 』
どれくらい眠っただろう、御経のようなものが聞こえて目を覚ます。
「煩いなぁ…… 」
寝返りを打った里見の目にお墓が映った。
「ひぅっ! 」
息を吸い込む悲鳴を上げる。勉強机の上に灰色の墓石が建っていた。
『はんにゃ~はぁ~らぁ~ 』
その墓石から黒い人影が出てくる。
「ひぅぅ……うぅ……うわぁあぁぁあぁぁぁ~~ 」
里見が大きな悲鳴を上げた。同時に墓石も人影もフッと消えた。
階下にいた母親が慌てて階段を上ってくる。
「孝ちゃん! 」
慌ててドアを開けた母親にベッドから飛び起きた里見が抱き付いた。
「おっ、お化けが……お墓が………… 」
震える声で勉強机を指差すが何も変化はない。
「吃驚させないでよ、お化けなんているわけないでしょ? 寝惚けたのよ」
抱き付く里見の頭を母親がポンッと叩いた。
「本当だよ、本当に見たんだ……本当にお化けがお墓から出てきたんだ。机の上にお墓があって………… 」
必死に訴える里見の話しを聞いていた母親が勉強机の上に置いてある石に気が付いた。
「あれは…… 」
母親がひょいっと石を掴み上げる。
「昨日の遠足で拾ったんだ。綺麗でしょ」
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