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驚いて黙り込んだエンリコの腕を引っ張り、ラウラは小さなテイクアウト専門のサンドイッチ屋に連れて行ってしまった。
疲れた顔のおかみさんが、これまた生気のない旦那が作るチキンサンドをラウラに渡し、何か言っている。
エンリコはそれを離れた場所で見ながら、混乱していた。
ラウラは小さな包みをエンリコに渡すと、「奢るわ」と、明るく言った。
並んで『オリーヴェ』の方へ戻る途中、ラウラが説明する。
「さっきの店ね、今日限りで閉店するの。こんなに景気悪くちゃね、商売やってらんないもんね。田舎に帰るって言うから、お見送りがてら最後に買いに来たの。美味しいよ、食べてみて」
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