第二話 蛙

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第二話 蛙

 大阪府に住んでいる大学生の奥平さんが教えてくれた話しだ。  奥平さんが住んでいる辺りには溜池が多い、今でこそ住宅地になっているが昭和の中頃辺りまでは彼方此方に田畑が広がっていた。その田んぼに水をやるために溜池が作られたのだ。  田んぼがなくなり溜池も必要無くなって埋められる事も多くなっていたが今でも歩いて行ける範囲に三つほどの溜池がある。  釣りが趣味の奥平さんにとって溜池は格好の遊び場だった。小学生の頃にやったザリガニ釣りから始まってフナ釣りにルアーを使ったバス釣りなど池での釣りは一通り経験している。高校生になってからは足を伸ばして渓流や海釣りも始めるようになり近くの池には余り行かなくなった。  2年前の初夏、大学に提出する論文を書いていた奥平は気分転換をしようと釣りへと出掛ける事にした。  論文に手間取って暫く釣りをしていなかったので気分転換という理由を付けて釣りがしたかっただけだ。あくまで気分転換という理由付けなので遠くには行けない、論文もまだ半ばだ。渓流や海釣りは諦めて近くの溜池に行く事にする。 「蛙池に行くかな」     
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