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どれほど眠っただろう、猫らしき鳴き声が聞こえて目が覚めた。
『ニャー、ニャー、ニャァァ~~ン』
寝返りを打った耳にハッキリと聞こえた。窓の直ぐ傍を猫が歩いているような感じだ。
「ああ、猫が居るんだ」
猫好きの香内が起き上がる。
「どんな猫だ? 」
気になった香内が窓を開けた。
「あっ! 」
思わず声が出た。窓の外に女が立っていた。30歳くらいの女だ。
横を向いていた女が振り向いた。気まずくなった香内はペコッと頭を下げて直ぐに窓を閉めた。窓の外を女が歩いていった。
「あの人も猫が好きで出ていたのかな」
香内は苦笑いすると起きた序(つい)でにトイレに行ってから布団に横になった。スマホで時間を確認すると午前0時を少し回っていた。
翌日の深夜、猫の鳴き声が聞こえてスマホを弄っていた香内が窓を開けると昨晩見た女の人が歩いていた。
次の日も猫を見ようと窓を開けると女の人がいた。
「猫の飼い主かな? 室内飼いしてるのを深夜に散歩させてるのかもな、でもどんな猫か見たいなぁ」
猫が来るのは毎晩同じ時刻だ。深夜の0時過ぎである。野良猫が巡回しているのか、あの女が飼い主で散歩をさせているのかは分からないがどんな猫か一目見たくなった。
「もう直ぐだな」
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