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引っ越してから4日目、香内は窓の近くで猫を待った。
鳴き声が聞こえた後で探しても見つからないので鳴く前に窓を開けて見てやろうと待ち構えていたのだ。
「来た! 」
気配を感じた香内がサッと窓を開けた。
『ニャ~ン、ニャンニャン、ナァァ~~ン』
30歳くらいの女が声を作って鳴いていた。
「あっ、ああ…… 」
驚きと同時に見てはいけないものを見たという後悔で香内は直ぐに窓を閉めようとした。
その時、横を向いていた女が振り向いた。
「おわっ! 」
短い悲鳴を上げると香内がサッと窓を閉じた。
ニャーニャー鳴く女の目が爛々と赤く光っていた。
「なっ、何だアレは……アレは何だ」
軽いパニックを起して窓の鍵を閉めているとべたっと窓ガラスに女が貼り付いてきた。
『ニャーニャー、ニャニャァ、ニャアァァ~~ン』
窓に額を付けるようにして女がじっと香内を見つめた。
「うわっ! うわぁあぁ~~ 」
無表情で猫の鳴き真似をする女を見て香内は悲鳴を上げると分厚いカーテンを閉めた。
『ニャァ、ニャァ、ニャァァ~ン』
カーテンで見えなくなった先で暫く鳴き声が聞こえていた。
「ごめん、悪かった。許してくれ」
謝ると鳴き声が止んだが香内は確認するのも怖かったのでそのまま布団に潜り込んだ。
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