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ふと記憶を辿ってみる。そう言えば高級そうなレストランの肉料理の上に、黒い薄っぺらいのが乗っていた。匂いが強くて覚えている。アレがコレなんだ。
「でも、美味しい?」
「高級だぞ! 美味いだろ! 匂いもいいだろ!」
「俺は苦手なんだけど……」
匂いが強すぎるんだ。
それでもジェイクが料理するなら美味いかもしれない。思って小さな方を籠へと入れた。
「まさかこの森にトリュフまであるとは……」
「知らなかったの?」
「知ってたら今頃大変な騒ぎだ」
「へー」
これ、取って良かったんだろうか。ふとそんな疑問も浮かびながら、レイバンは籠を見た。
キノコ取り競争、量の分野では入選すらしなかったが、種類の多さでは一番だった。特にトリュフには他の審査員も驚き、ひっそりと見守り増えるのを楽しみにするから、あった場所は他言しないようにと言われた。
「よぉ、楽しかったか?」
「ジェイさん!」
籠の中身を布袋に入れて持ち歩きながら、レイバンは会場を巡っていた。そこに声をかけられて、ニッコリと笑う。
「楽しんでるよ。ねぇ、見る?」
「ん?」
戦利品をひけらかすように布袋を開けて、ジェイクは驚いたような顔をする。
「トリュフ!」
「場所はトップシークレットだって」
「だろうな。それにしても、凄いな」
「俺、鼻がいいって言ったじゃん」
「……ん?」
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