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慣れた手つきでジェイクが香りを確かめ、少量を口に含む。その横でレイバンはそれらを気にせず飲み込んだ。
「あ、飲みやすい」
ブドウの香りは残しつつ、スッキリと口当たりがいい。酸味もきつくはなく、こってりと甘いわけではなかった。
「こちらは辛口です。こちらは同年に作られたものですが、甘口に仕上げてありますよ」
そう言って出されたワインは同じように見える。けれど飲めばまったく別物だ。ブドウ本来の甘みやフレッシュ感が残っているものの、酒を飲んでいるというよりは高級なジュースを飲んでいる気分だ。
「白は辛口がいいな」
「わかりました」
「赤はどうだ?」
「それならこちらを」
リデールは奥の方からやや古いラベルのワインを出して来て、新しいグラスに丁寧に注ぐ。色の濃いものだ。
一口飲み込んだレイバンは思わず眉根を寄せた。それというのも飲み慣れないものだったのだ。渋みを強く感じる。鼻に抜ける香りは確かに濃いのだが、沢山飲むようなものには思えない。
「渋いんだろ」
笑うようなジェイクを睨むと、リデールも笑った。
「確かにフルボディは飲み慣れない方には受けが良くありませんからね」
「俺はこれで十分に思えるんだが、確かにワインを飲み慣れている隊員は少ないかもしれないな」
「では、こちらの若いワインはいかがでしょう?」
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