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孫を思う祖父の顔をするリデールを見て、レイバンとジェイクは互いに顔を見合わせ、なんとも言えない顔をすることとなった。
ほろ酔いを冷ますように二人でブドウ畑を歩いている。ワイン用のブドウは果物用よりも粒が幾分小さい。
歩いている間に、ジェイクが違うワインシャトーへと寄ってそこで昼食を頂いた。シャトーであり、レストランをやっていたのだ。
季節野菜のピザと、牛ステーキ、それにワインが出てくる。
だがこのワイン、リデールの所で飲んだワインとはまったく違っていた。
「何コレ甘い! でも、ジュースみたいな甘さじゃない!」
小さなシャトーの若い女将さんは嬉しそうに笑い、奥から顔を出した若い男も嬉しげに笑っている。
「本当だ。このワインは……」
「貴腐ワインというのですよ。特別なブドウを使って作っているのですが、数が作れないので」
「貴腐ワイン?」
「完熟した葡萄に、貴腐菌という菌がついて自然と乾燥葡萄のような状態になるのですよ」
「そんなのがあるのか」
ワインを回し、飲み込んでまたを繰り返している。すっかり研究員の目だ。
「天候などに大きく左右されるもので、まったく作れない事もあるのですがここ最近は順調なのです。でも、市場に出す程の量はないのでここを訪れた方や、個人で求められる方だけにお出ししているのですよ」
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