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【R18】シャトーの夜
用意してもらったぬるめのお湯に服を脱がされて浸かった。背後からはジェイクが抱きしめて背もたれになってくれている。それでもなかなか、体の震えは止まらなかった。
歯の根が合わなくてカチカチと鳴る。凭れた体を抱きしめてくれる事が温かい。濡れ鼠の体は芯から冷えて、髪の毛は夜風に当たって冷え切ってしまっていた。
「大丈夫か」
「だい、じょうぶ」
言いながらもカチカチ歯が鳴っていては説得力がない。
後ろから、ギュッと抱きしめる体がある。手がしっかりと前に回っている。それが、震えていた。
「ごめ、寒い?」
「違うっ!」
押し殺した様な声にビクリとする。抱きしめる腕に力が加わっていく。少し苦しいくらいに。
「お前が、死んだかと……」
絞り出すような声に、胸が切なくなる。ジェイクの肩口に凭れて、レイバンは小さく「うん」と言った。
「この季節の、あんなに冷たい水に全身浸ったら……」
「うん」
ごめんね。それが素直に浮かんでくる。震えながらもジェイクの手に手を重ねた。
「大丈夫、俺ここにいるから」
無言のまま抱き寄せ、体に湯をかけ続けてくれるジェイクに身を任せる。心地よく、眠りそうな気がしてくる。
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