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ゆっくりと温かくなる風呂に、二人で長く浸かっていた。震えが止まって、心の中も温かくなるまで。
風呂から上がると体の中からぽかぽかと、むしろ熱いくらいだった。
真新しい服に着替えて招かれた先には先程の農夫二人と震えているリュミ、そしてそれを側で支えているカイルがいる。
「すみませんでした、レイバンさん。体は? 医者は?」
「あぁ、いえ。ゆっくりと温まりましたので平気です」
どっちかと言えばジェイクの方が重症に思える。元気がないのだ。
リデールに招かれ、ホットワインをもらってチビチビと舐める。アルコールが多少飛んでいるから飲みやすい。一緒にパンなどももらった。
「で、一体何がどうしたのさ」
当然と言わんばかりに問えば、リュミの方は怯えカイルは守ろうとする。その側で、おそらく両方の父親だろう農夫二人が沈み込みそうなほどに項垂れていた。
「ワシからで、かまいませんかな?」
「いいけど……。そもそも心中なんてただ事じゃないじゃん。どうしてさ?」
「二人の結婚を、バカ息子共が強固に反対したのが原因です」
「それなら、駆け落ちしたら良かったんじゃない? 若いんだし、町で住み込みすればやっていけるよ」
だが二人は首を横に振る。リデールは重く溜息をついた。
「子供が、できてしまったのだと」
「え!」
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