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「結婚は反対され、子供ができ、町まで行けるかすらも分からない。行けたとして小さな赤ん坊を抱えて若い夫婦がやっていけるか、不安しかなく……」
なるほど、納得した。
泣き崩れるようにリュミが体を折りそうになり、カイルはそれを支えて楽な姿勢を保っている。
互いを支え合う、とても美しい光景だ。きっと上手くゆくはずなんだ。
レイバンは二人の父親を睨み付ける。どうにかこの障害を突き崩さなければ若い二人が不幸になる。そもそもなんだ、ライバルが拗れたって。
「あのさぁ、あんた達親でしょ。なに子供不幸にしてんのさ」
気付けば出ていた。他人の家庭の事情なのにまずったと思った。でも、出てしまったんだ。
「あんた達のプライドだのなんだので、子供がどんな悲しい思いして、思い詰めてんのさ。苦しんでんの子供だよ? 生まれてくんの孫じゃないの?」
ビクッと震えた大人二人が、とても小さく頷いた。
「あのさぁ!」
「レイバンさん、有り難う。でも、大丈夫ですよ」
腹立たしくて声を荒くしたら、リデールが柔らかく宥めてくる。見れば彼はとても優しく頷いていた。
「この子達の結婚を、認めると話し合いました」
「……幸せになれる?」
「勿論。ワシが後ろ盾となって、産まれてくる子も大事に見守ります。なに、まだ元気ですからね」
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