349人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
そう言ったリデールの言葉は、何故か信じられた。きっと、祖父を思い出したんだ。こんなに優しくはなかったけれど、見守るような目は同じに見えた。
「レイバンさんには、本当にご迷惑をおかけしました」
カイルがレイバンを見て、深く頭を下げる。その隣ではリュミも同じように軽く会釈をした。
「……来年も、くるから。子供、抱かせてもらっていい?」
「勿論! あの、いいのでしょうか?」
「俺がしたいんだから、いいの。いいよね、ジェイさん?」
振り向いてジェイクを見れば、疲れた表情ながらも確かに頷いてくれた。
食事はとっておきの料理が並び、しっかりと食べた。
そして、父親同士にも少し変化があった。とても不器用ながら、話していたのだ。
思えば父親同士も他人から比べられ、優劣をつけられ続けたのだと聞く。そのうちにライバル心が憎しみに変わったのかもしれない。
なんにしても若い夫婦が控えめながらも笑顔を取り戻した事には安心した。
招かれた部屋は最初の部屋ではなくて、クインサイズのベッドのある広い部屋だった。
暖炉に火が入り、温かくなっている部屋はとても綺麗になっている。
案内のメイドさんが「主人からです」と一言伝えて出て行った。
「これって……関係バレたよね?」
「だろうな」
「いいのかな?」
「計らいがあるってことは、いいんだろ」
最初のコメントを投稿しよう!