収穫祭は美味しい匂い

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収穫祭は美味しい匂い

 安息日当日、朝便の馬車に乗り合いで向かったのは山間の村、マローネ。  小さな村はとても賑わっていた。 「凄い人! これ、宿大丈夫?」  乗合馬車から降りたレイバンは人の多い村を見て驚いた。建物はそう立派なものではなく、田舎にありがちな素朴なもの。田畑が多い事で土地は広いが、建物の数としては村というのに相応しい程度だ。  そこに多くの人が入っていく。そして、いい匂いがしている。 「世話になった人に宿を頼んである。収穫体験もできるから、楽しいぞ」 「収穫体験!」  後ろから来たジェイクの言葉に、レイバンは嬉しく声を上げた。  なんだか昔を思い出す。森で木の実を取って生活していた時代の事だ。辛い時代だったことは確かでも、痛みではなくなった。今が、幸せだから。 「川からは鮭が遡上してくる。ここで人工的に孵化させて、放流なんかも始めているらしい」 「そんな事までしてるの!」  思わず声を上げたレイバンはうきうきとして村の門前に立った。     
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