平成最後の花火

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汗くさくない? 恥ずかしくて顔も見れない。 電車を乗り換える駅で降りる。ここからは違う路線。 改札を出て手を振る。 「また遊んで」 「気をつけて帰れよ」 電車に乗り、立ったまま窓にもたれスマホを見たら母からのLINE。 駅まで迎えにいこうか? めずらしく優しい言葉。 うざ。 「あと10分で着く。おなかすいた」と文字をうつ。 窓を見る。 真っ暗な空。 襟元の着崩れた浴衣。不満そうな顔のわたし。 平成最後の夏に取り残されて、鼻緒で擦れた足の痛みだけが、わたしの今。 了
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