第2章 俺と攻略対象者と、時々悪役令嬢

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兄様に案内された厨房はかなり大きく立派であった。 セルバさんも俺達から少し遅れて着いてきた。 「ここだよリュー」 俺に蕩けるような笑みを浮かべる攻略キャラ。 これ……本当に大丈夫だよね? 疲れてるだけ、だよね? ヒロインに出会ったらそっちにいくよね? ……何だか激しく心配になってきた。 「僕も手伝っていいかい?」 「いえ、大丈夫です。案内して貰ってありがとうございます」 手伝いを申し出て貰ったが、今まで包丁もろくに握った事がないようなお坊ちゃんだ。 申し出は有難いが、俺が1人でやる方が早い。 ここは丁重に断らせてもらおう。 「ううん、僕が手伝いたいんだ」 「大丈夫です、1人で作る方が早いので」 果物とか洗剤で洗いそうだし……それにちょっと嫌な予感もする。 「リューと一緒にいたいんだ」 あれ?しつこくね? てか顔近いし。 「いえ「駄目かな?」」 ちょ 「い「いいよね?(ニコッ)」」 ……………。 「……えぇ、お願いします。」 NOを言わせない微笑みだね。 さっきの純真さはどこへいったの? お腹黒いよ、真っ黒だよ。 「では始めに小麦粉を……」 俺は溜め息をつき厨房に入る。 こうして、俺達は二人仲良く?ケーキ作りを開始したのであった。
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