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第1章 俺が乙ゲー転生ってマジですか?
00話 呆気ない終わり
──俺は何でもできた。
勉強やスポーツはもちろん教養や芸術、何においても何一つ誰にも劣ることは無かった。
──でも、俺は何一つ持っていなかった。
子供の頃は神童と呼ばれたが、後にあまりに常軌を逸した能力で¨化け物¨と呼ばれ遠巻きにされるようになった。
そんな俺を家族は裏で気味悪がりながらも、利用していた。
──俺は奴らを切り捨てた。
後悔はなかった。
俺にとって、奴等は不要の存在だと判断した。
その判断は正しく、俺はその後何年かは平穏に暮らすことが出来た。
平穏で、つまらない日々だった。
しかし数年後、奴等は再び俺の前に現れた。
多額の借金を背負い、金を無心しに来たのだ。
「だって、家族でしょ? お母さん達を助けてくれるわよね?」
母親だった女が言った。
醜い笑みを浮かべていた。
「……馬鹿だろ」
思わず口からこぼれた。
でも本当に馬鹿だ。
そもそも俺は手切れ金として多額の金を渡していた筈だし、それを使い切るどころか借金まで作るとは、馬鹿としか言い様がない。
……しかも¨家族¨とは笑わせる。
散々利用しておいて実に馬鹿馬鹿しい……そんな事、思った事もないだろうに。
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