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「何だとっ!? 親に向かってなんて口の聞き方だっ!!」
俺の一言に、馬鹿にされたと思ったらしい。
家族だった奴らが怒りわめき散らした。
どいつもこいつも醜く濁った瞳で、俺を写す。
「このっどこまでも馬鹿にしてっっ!!」
そして、刃物を取りだし俺の胸を刺した。
避けようと思えば避けれたし、返り討ちにも出来ただろう。
しかし、俺はそうしなかった。
俺は自分の命にも執着がなかったのだ。
刺された所から、血がどんどん溢れていく。
死の間際、奴ら罵詈雑言や、遺産が手に入るなど叫んでいるのが聞こえる。
と言っても一銭たりともいかないようになっているし、この犯行の瞬間は映像として警察にリアルタイムでいくようになっている。
すぐに捕まるだろう。
奴等の望む未来は決して訪れる事はない。
……ざまーみろ。
暗い水底に沈んでいく意識の中で、ぼんやりとそう思った。
今すぐにでも沈みきってしまいそうなのに、後悔も恐怖もない。
ただ──
あぁ、……でも人生の最後の景色がこれっていうのも、あれだな……。
もし次があるとしたら、俺は…………、
そうして、俺は死んだ。
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