第4章 リュート君誘拐事件!?

3/120
2235人が本棚に入れています
本棚に追加
/684ページ
「とぅさま! りゅぅと!」 ユーリの事を考えていたら丁度本人が、トコトコとこちらに走って来た。 「なん…の、…はなし…し…てた…の?」 ユーリは、首をこてんっと傾げた。 相変わらずの小動物っぷりだ。 「お前のことだよ、ユーリ。こないだ固有魔法を使っただろう? リュート君が召喚された幻獣が、気になっていたみたいでね」 「ゆにっ!」 ユーリは目を輝かせて言った。 「ゆに? あの幻獣の名前? ユニコーンだから?」 ユーリらしいと言えばらしいけれど、中々単純なネーミングだ。 思わずクスリと笑いが溢れた。 「ん! ゆに、ともだち!」 「そうなんだ」 「ん!」 ユーリのあまりの無邪気さに、思わず頭を撫でてしまっていた。 指に絡む髪の毛が柔らかくて気持ちが良い。 「ところで、教会の方はどうなりましたか?」 俺はユーリの髪を弄りながら、トーリに聞いた。 これだけ事が大きくなったのだ。 何らかの改革は必要だろう。 「あぁ、まず教皇は正式に職を辞することになったよ。そして国によって裁判にかけられる。恐らく罪人が閉じ込められる塔で、一生暮らすことになるだろう。犯した罪は大きいが高位の一族だからね……死罪にはならないよ」 トーリは今現在の教会について教えてくれた。 その表情は硬く、悔しそうだ。 「そうですか……、でもそれが妥当なところですね。クレイシスは教会の名門一族ですし。……そういえば次の教皇は誰になるんですか?」 あの(カイザーク)を処刑台送りに出来なかったことは俺も残念だが、クレイシスの一族は代々教皇を輩出するほどの名門なのだ。 それを死刑などにしたら、教会への信用が揺らぐ。 そもそも今回の(カイザーク)による不祥事は、明るみにされないだろう。 神聖とされていた教会のトップが腐っていたでは、社会に与える混乱が大きすぎる。 裁判も内密に行われる筈だ。
/684ページ

最初のコメントを投稿しよう!