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「とぅさま! りゅぅと!」
ユーリの事を考えていたら丁度本人が、トコトコとこちらに走って来た。
「なん…の、…はなし…し…てた…の?」
ユーリは、首をこてんっと傾げた。
相変わらずの小動物っぷりだ。
「お前のことだよ、ユーリ。こないだ固有魔法を使っただろう? リュート君が召喚された幻獣が、気になっていたみたいでね」
「ゆにっ!」
ユーリは目を輝かせて言った。
「ゆに? あの幻獣の名前? ユニコーンだから?」
ユーリらしいと言えばらしいけれど、中々単純なネーミングだ。
思わずクスリと笑いが溢れた。
「ん! ゆに、ともだち!」
「そうなんだ」
「ん!」
ユーリのあまりの無邪気さに、思わず頭を撫でてしまっていた。
指に絡む髪の毛が柔らかくて気持ちが良い。
「ところで、教会の方はどうなりましたか?」
俺はユーリの髪を弄りながら、トーリに聞いた。
これだけ事が大きくなったのだ。
何らかの改革は必要だろう。
「あぁ、まず教皇は正式に職を辞することになったよ。そして国によって裁判にかけられる。恐らく罪人が閉じ込められる塔で、一生暮らすことになるだろう。犯した罪は大きいが高位の一族だからね……死罪にはならないよ」
トーリは今現在の教会について教えてくれた。
その表情は硬く、悔しそうだ。
「そうですか……、でもそれが妥当なところですね。クレイシスは教会の名門一族ですし。……そういえば次の教皇は誰になるんですか?」
あの豚を処刑台送りに出来なかったことは俺も残念だが、クレイシスの一族は代々教皇を輩出するほどの名門なのだ。
それを死刑などにしたら、教会への信用が揺らぐ。
そもそも今回の豚による不祥事は、明るみにされないだろう。
神聖とされていた教会のトップが腐っていたでは、社会に与える混乱が大きすぎる。
裁判も内密に行われる筈だ。
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