第4章 リュート君誘拐事件!?

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「……陛下や他の司教達は私を指名したよ」 苦々しい顔をして言った。 トーリは未遂に終わったが、自分の犯した罪は分かっている。 悪魔の件は公にされていない。 それでも、罪を犯した自分が教皇職につく事が納得出来ないのだろう。 「僕もそれには賛成ですね。教皇には貴方が最も相応しい」 でもだからこそ、トーリが相応しいと俺は思う。 1度過ちを犯したからこそ、もう2度と間違うことはない。 それに彼は民を何より思っているから、いい主導者になれる。 「ぼく…も、…おもぅ!」 ユーリも俺と同意見のようだ。 何度も首を上下に振り、肯定している。 「しかし……」 「貴方がそれを罪に感じるなら、これからの行動で償えばいいので? もうこのようなことが2度と起きないように、貴方が教会を導けばいい」 トーリがまだ渋い表情を浮かべたので、俺はもう一押しした。 俺としても今後あのような(カイザーク)を世に送り出さないという意味でも、トーリに引き受けて貰いたい。 「……そうですね、教会は民の信仰の要だ。清廉潔白でなければならない。……決めました。このお話受けようと思います」 「はい、トーリさんなら出来ると思います!」 「ん!」 トーリは教皇職につく決心をしたようだ。 これからは教会に溜まった膿も一掃される。 もうこのような事は2度と起こらない。 貴族や金を持ったものが優先されがちだった回復魔法の治療も、真に民を思うトーリの采配で誰にでも平等に行き渡るようになる筈だ。 俺は穏やかな未来に想いを馳せた。
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