第1章 俺が乙ゲー転生ってマジですか?

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え? 何コイツ?……殺っていいかな? 「ヴィンセント様どうして此処に!?」 「ウェルザック公爵、お待ちしておりました」 「あぁ、気を利かせてくれて感謝する。ちょうど数日前にこの街に立ち寄ったばかりだったんだ。君をずっと探していた……君の眼の色は、この国では滅多にいない。それで兵達が気を利かせて知らせてくれたんだ。本当に……足止めしてくれて助かった。でないとすれ違いになっただろう」 驚く母様に、ほっとする騎士、そして公爵と呼ばれた銀髪イケメンセクハラ野郎。 足止めって……それであんなに長く待たされた訳か。 ……あれ? ウェルザック公爵? ヴィンセント様? その名前が遠い昔の記憶を刺激する。 聞いた事がある名前だ。 それも今世でなく、前世で。 つまり……この銀髪イケメンはヴィンセント・ウェルザック? 俺はその名前を知っている。 いや、知っているというより聞いた事があるというべきか。 俺は前世で聞いたゲームを思い浮かべた。 “七ツノ大罪~貴方と私の愛の軌跡~” このゲームはイタいタイトルの割に愛憎渦巻くドロドロで、乙女の筈なのにバットエンドは相当悲惨なものだったらしい。 そしてそのゲームの登場人物名でその名を聞いた事があった。 “ヴィンセント・ウェルザック” たしか攻略キャラであるレイアス・ウェルザックの義理の父の名であったはずだ。 ……え? 本当、に? 嫌な汗が背筋をつたった。 この身で体験しても、信じる事が出来ない。 こうして俺は気付いたのであった。 この世界は乙女ゲームの世界で、俺は乙ゲー転生してしまったのだと!
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