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え? 何コイツ?……殺っていいかな?
「ヴィンセント様どうして此処に!?」
「ウェルザック公爵、お待ちしておりました」
「あぁ、気を利かせてくれて感謝する。ちょうど数日前にこの街に立ち寄ったばかりだったんだ。君をずっと探していた……君の眼の色は、この国では滅多にいない。それで兵達が気を利かせて知らせてくれたんだ。本当に……足止めしてくれて助かった。でないとすれ違いになっただろう」
驚く母様に、ほっとする騎士、そして公爵と呼ばれた銀髪イケメンセクハラ野郎。
足止めって……それであんなに長く待たされた訳か。
……あれ?
ウェルザック公爵? ヴィンセント様?
その名前が遠い昔の記憶を刺激する。
聞いた事がある名前だ。
それも今世でなく、前世で。
つまり……この銀髪イケメンはヴィンセント・ウェルザック?
俺はその名前を知っている。
いや、知っているというより聞いた事があるというべきか。
俺は前世で聞いたゲームを思い浮かべた。
“七ツノ大罪~貴方と私の愛の軌跡~”
このゲームはイタいタイトルの割に愛憎渦巻くドロドロで、乙女の筈なのにバットエンドは相当悲惨なものだったらしい。
そしてそのゲームの登場人物名でその名を聞いた事があった。
“ヴィンセント・ウェルザック”
たしか攻略キャラであるレイアス・ウェルザックの義理の父の名であったはずだ。
……え?
本当、に?
嫌な汗が背筋をつたった。
この身で体験しても、信じる事が出来ない。
こうして俺は気付いたのであった。
この世界は乙女ゲームの世界で、俺は乙ゲー転生してしまったのだと!
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