第1章 俺が乙ゲー転生ってマジですか?

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02話 諦めと魔法   俺は転生して新たな生を受けた。 それも地球ではない、どこか別の世界で。 俺の名前はリュート、俺を抱き上げていた人が母親で名前はカミラと言うらしい。 そして父親はどうやら居ないみたいだ。 全く姿を見かけない。 だがそれは、大した問題ではない。 大した問題ではないのだ。 ──問題は別にあったのだ。 この身体になった当初、俺は羞恥で死にそうになった。 何せ前世の俺は24才であったのだ。 いい大人である。 そんな俺が下の世話はもとより、食事は母乳だ。 何から何まで世話になるというのは、この上ない屈辱だった。 しかしそんな介護生活も、1ヶ月も経てば諦めがつくものだ。 だってどうしようもない。 ……俺には諦める以外の選択肢など存在しなかった。 「リュー君~、ミルクの時間だよ~」 母親が胸をさらして、俺の口に近付ける。 ……無心だ、深く考えるな。 俺は赤ん坊、赤ん坊赤ん坊赤ん坊赤ん坊赤ん坊……そう赤ん坊だ。 そう自分に言い聞かせて今日も母乳を飲んだ。
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